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「35歳転職限界説」の再検討 戸田淳仁 全国就業実態パネル調査| 調査結果

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「35 歳転職限界説」の再検討

戸田

淳仁

リクルートワークス研究所・主任研究員/主任アナリスト

「35歳転職限界説」が崩壊したと言われているが大規模データによって改めて検証を行った。その結果による

と転職行動に関して,男性では 35 歳前後で差が見られ,35 歳を超えると転職しなくなる傾向が検出された。また

女性については 35 歳前後で転職行動に差が見られず,離職者に限ると非正社員の仕事にではあるが積極的に就職

する傾向が検出された。また,転職前後の賃金変化を見ると,特に女性では 35 歳前後で差が見られ,女性を中心

に「35 歳転職限界説」が崩壊し良質な流動性が起きていると言える。

キーワード: 35 歳転職限界説,離職確率,転職成功確率,転職前後の賃金変化

目次

Ⅰ.問題意識と本稿の位置づけ

Ⅰ-1.問題意識

Ⅰ-2.本稿における検討課題

Ⅱ.使用するデータ

Ⅱ-1.使用するデータの概要

Ⅱ-2.転職のとらえ方

Ⅲ.転職確率に関する分析

Ⅲ-1.分析方法

Ⅲ-2.離職確率に関する分析結果

Ⅲ-3.転職成功確率に関する分析結果

Ⅲ-4.女性 30 代後半の転職成功確率について

Ⅳ.転職前後の賃金変化に関する分析

Ⅳ-1.分析方法

Ⅳ-2.分析結果

Ⅴ.むすびにかえて

Ⅰ.問題意識と本稿の位置づけ

Ⅰ-1.問題意識

本稿では,近年マスメディアで盛んに言われる

ようになってきた「35歳転職限界説」――確定的

な定義はないが,35歳を過ぎると転職が難しくな

るという説が崩壊した――が実際にデータで確認

されるか,下記で示すいくつかの視点で検証する。

その前に問題意識について述べたい。

1990年代以降の長期にわたる不況の中で,日本

の労働市場は変容を迫られてきたいと言われてい

る。いわゆる「日本的雇用慣行」は過去のものと

され,年功的賃金体系や長期雇用を捨て去り,海

外に匹敵する流動的な労働市場の必要性が主張さ

れてきた。こうした主張は度重なるほどあるにも

かかわらず,労働市場を通じた人材の再配置はそ

れほど活発になったとは言えない。図表1が示す

ように,失業率は持続的に上昇する傾向が見られ

るが,離転職を通じた労働移動はオイルショック

後の1970年台前半の活動水準程度であると言え

る 。 ま た ,Kambayashi and Kato(2011) や

Kawaguchi and Ueno(2013)の実証研究を見て

も,1990年代前後より非正規雇用が増加している

ため,あたかも労働市場は流動化しているように

見えるが,それはより流動性の高い非正規が増え

たからであり,正規雇用を中心に長期雇用の対象

になりうる労働者は依然として離職をしないと言

える。

もちろん,流動性を進める政策がこれまでにな

かったわけではない。1974年の雇用保険法による

雇用保険三事業(現・二事業)は,雇用の維持を

目的する雇用調整助成金などもあったが,再就職

を余儀なくされる者に対して就職支援も含まれて

(2)

力養成を直接支援する教育訓練給付が創設され,

従来の企業の雇用維持支援策とは異なる新しい雇

用政策の萌芽であったと言える。そして,2001 年

の雇用対策法改正により,労働市場の強化が明示

された。また,1997年には戦時中より続いた職業

紹介の公的独占を放棄し,民間営利職業紹介を解

禁した。

このように労働市場の流動性を高めることが日

本の労働市場において重要であり,諸々の施策を

講じているにもかかわらず,先ほど確認したよう

に日本の労働市場は流動的とは言えない状況であ

るが,近年になって,「35歳転職限界説」の崩壊

を示唆するマスコミの記事が相次いで出版されて

いる。たとえば,2015年4月20日付の日本経済

新聞の記事では,以下のように説明している。

「景気回復にらみ企業が採用を拡大する中,若

手だけでなく中高年の転職が増えてきた。業容を

拡大している中堅・中小企業を中心に,経験豊富

な管理職などを外部から登用。迅速な新規事業の

立ち上げや海外展開に生かしている。従来は35歳

を目安に,それ以上の年齢の転職は難しい面もあ

ったが,少しずつ変わり始めている」

また,2014年1月25日号の週刊東洋経済の特

集記事である「転職のリアル 崩れ始めた35 歳

限界説」においても同様な説明がされ,政策的に

も2014年度よりリストラを進める企業の従業員

の再就職を支援する労働移動支援助成金を約330

億円と前年度 23 億円より大幅に増額し,労働移

動を促進させるとともに,雇用維持に働く雇用調

整助成金を前年度から半減させたことを指摘して

いる。

これらの記事では人材サービス提供会社の事業

データなどに基づき,30代後半の転職者が増えて

いることを示しているが,改めて公的統計で確認

したい。図表2は総務省統計局「労働力調査」の

詳細集計における転職者の推移である。年齢階級

別の転職者数を見てみると35~44歳については,

2002年の53万人と比較すれば,2015年は64万

人と増えているが,2002 年以降で見ると,2007

年が71 万人と最大であり,そこから見れば人数

は減少している。ただし,転職者全体に占めるシ

ェア(各年齢階層別の構成比)を見ると,35~44

図表1 失業率,転職入職率の推移

注)転職入職率とは,毎年1月1日の被用者数と比較して,当該年間に入職したうち前職があって転職期間が1年

位以下の被用者の割合を示す。離職率は,毎年1月1日の被用者数と比較して,当該年に離職した者の割合を示

す。

出所)完全失業率:総務省「労働力調査」,転職入職率・離職率:厚生労働省「雇用動向調査」

0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 18.0 20.0

1974 1976 1978 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014

完全失業率 離職率 転職入職率

(3)

図表2 年齢階級別 転職者・転職者比率の推移

注)転職者数は,就業者のうち前職のある者で,過去1年

間に離職を経験した者

転職者比率は,転職者/就業者×100

出所)総務省統計局「労働力調査」

歳は2007年に2割を超えた状態が続いており多

少の変動はあるが,転職者に占める割合は一定数

いることがわかる。その反面若年者の転職者のシ

ェアが下がっていることがわかる。

転職者比率で見ても,35~44歳については同様

のことが言え,必ずしも転職が増えているといっ

た実態は見えにくい。しかもリーマンショック直

前の2007年の方が直近の2015年よりもわずか

にではあるが高いこともわかる。転職者のシェア

に関して,35歳以上は増えていることがわかるが,

転職者数や転職者比率で見るとそれほど変化が見

られないと言える。

日本経済新聞の記事では,企業の採用意欲が高

まり若年だけでなく中高年も採用するようになっ

たという説明であるが,個人にとってもある程度

の年齢になって転職をすることが合理的だろうか。

この問題を考える上で重要な示唆を与えるのが

Lazear(1979)の「なぜ定年制が存在するのか」

というタイトルの論文だろう。Lazear(1979)の

説明によると,企業は労働者が真面目に働くかチ

ェックする手間が大きい場合に,企業は労働者が

怠けないように,「後払い賃金」を導入する。経済

学では賃金と個人の付加価値生産性が一致すると

いう説明がなされるが,そうであると仮に労働者

が怠けて働いていたことが発覚した場合に解雇さ

れ,その後に転職をしても付加価値生産性通りの

賃金が受け取れるのであれば労働者にとって大き

な損失はない。そこで後払い賃金を導入し,労働

者が若い時期は付加価値生産性より賃金を下げ,

ある年齢以上では個人の付加価値生産性以上の賃

金を与えるようにすれば,労働者は生産性以上の

後払い賃金を受け取るように真面目に働くように

なる。ただし,支払賃金の合計と付加価値生産性

の合計が一致する段階で定年制を設けるとともに,

年齢に応じて賃金プロファイルは右上がりになる。

こうしたストーリーは日本でどこまで当てはまる

か厳密な検証は難しいが,定年制が存在し,賃金

プロファイルが右上がりである日本には,企業は

労働者が真面目に働くかチェックするという意図

があったかどうかは別として,ある程度当てはま

ると考えられる。また,年齢が高くなるにつれて,

生産性以上に賃金が支払われることになるが,日

本の場合 35 歳において生産性と賃金の大小関係

が逆転し,35歳以降においては転職をしても平均

的に見て生産性並みの賃金となってしまい,転職

を抑制する傾向が見られるようになると考えられ

る。

賃金プロファイルが平坦化するなどこうしたス

トーリーが当てはまらない状況になってきた。濱

秋ほか(2011)によると,1989年から20年間の

総数 15~24

歳 25~34

歳 35~44

歳 45~54

歳 55~64

歳 65歳 以上 2002年 327 87 101 53 47 31 7 2003年 325 81 102 58 43 32 7 2004年 323 78 103 57 41 36 7 2005年 340 83 108 63 44 37 6 2006年 346 82 111 67 44 35 7 2007年 346 76 102 71 46 41 10 2008年 335 72 102 68 43 40 9 2009年 319 63 96 69 41 41 9 2010年 282 54 82 61 38 38 10 2011年 284 52 82 65 38 40 10 2012年 285 52 81 64 40 38 10 2013年 286 53 77 65 40 41 11 2014年 290 55 75 67 41 40 12 2015年 298 55 80 64 45 41 14 2002年 100.0% 26.6% 30.9% 16.2% 14.4% 9.5% 2.1% 2003年 100.0% 24.9% 31.4% 17.8% 13.2% 9.8% 2.2% 2004年 100.0% 24.1% 31.9% 17.6% 12.7% 11.1% 2.2% 2005年 100.0% 24.4% 31.8% 18.5% 12.9% 10.9% 1.8% 2006年 100.0% 23.7% 32.1% 19.4% 12.7% 10.1% 2.0% 2007年 100.0% 22.0% 29.5% 20.5% 13.3% 11.8% 2.9% 2008年 100.0% 21.5% 30.4% 20.3% 12.8% 11.9% 2.7% 2009年 100.0% 19.7% 30.1% 21.6% 12.9% 12.9% 2.8% 2010年 100.0% 19.1% 29.1% 21.6% 13.5% 13.5% 3.5% 2011年 100.0% 18.3% 28.9% 22.9% 13.4% 14.1% 3.5% 2012年 100.0% 18.2% 28.4% 22.5% 14.0% 13.3% 3.5% 2013年 100.0% 18.5% 26.9% 22.7% 14.0% 14.3% 3.8% 2014年 100.0% 19.0% 25.9% 23.1% 14.1% 13.8% 4.1% 2015年 100.0% 18.5% 26.8% 21.5% 15.1% 13.8% 4.7% 2002年 5.2 14.1 7.0 4.2 3.1 3.0 1.5 2003年 5.2 13.6 7.1 4.5 3.0 3.0 1.4 2004年 5.1 13.5 7.2 4.4 2.9 3.2 1.4 2005年 5.4 14.5 7.6 4.8 3.3 3.2 1.2 2006年 5.4 14.4 7.9 4.9 3.3 2.9 1.3 2007年 5.4 13.6 7.5 5.1 3.5 3.3 1.8 2008年 5.3 13.2 7.8 4.8 3.3 3.2 1.6 2009年 5.1 12.2 7.6 4.8 3.2 3.4 1.6 2010年 4.5 10.9 6.6 4.2 3.0 3.1 1.7 2011年 4.5 10.9 6.8 4.3 3.0 3.2 1.7 2012年 4.6 11.0 6.8 4.2 3.1 3.2 1.7 2013年 4.5 11.0 6.6 4.3 3.0 3.5 1.7 2014年 4.6 11.3 6.5 4.4 3.0 3.5 1.8 2015年 4.7 11.2 7.1 4.3 3.2 3.6 1.9 転

職 者 数

万 人

転 職 者 に 占 め る シ

転 職 者 比 率

(4)

「賃金構造基本統計調査」の個票を用いて,新卒

採用後,同一企業に勤め続けた労働者の賃金を検

証し,賃金プロファイルがこの 20 年間で平坦化

していることを確認している。この背景としては,

経済が低成長となっただけでなく従業員の高齢化

により企業に支払い能力が下がっていることがま

ず考えられる。それだけでなく,2000年代後半に

は高齢者雇用安定法が改正され,65歳までの雇用

確保が義務付けられるなど,さらに人件費圧力が

増すことがあろう。賃金プロファイルがフラット

になれば,いわば「後払い賃金」の機能が薄れ,

個人にとってもある程度の年齢になって離職をし

てもそれほど損をしない可能性が出てくる。「35

歳転職限界説」が崩壊しているとすれば,背景と

してこうした事情があると考えられる。

Ⅰ-2.本稿における検討課題

本稿では上述の問題意識に基づき,「35歳転職

限界説」に関してデータに基づきこうした状況が

薄れつつあるのかについて確認したい。本稿では,

「35歳転職限界説」を,①35歳を境にして,す

なわち30代前半と30代後半の間で実際の転職行

動に差が見られ,30代後半は30代前半に比べ転

職率が統計的に低い,②30代後半は30代前半に

比べ転職前後の賃金変化がより小さい,という仮

説を設定して検証行う。前節でも述べたように,

流動性が低い労働市場において,「35歳転職限界

説」が成立しているかいないかを見ることが,労

働市場の変化を見る上では重要であろう。

日本においては転職前後の賃金変化を含め転職

の研究は数多く存在する1。過去のWorks Review

においても豊田・小泉(2006)は2002年から2006

年にかけて転職前後の年収変化,転職の有無につ

いて分析を行い,年齢,業種・規模,就業形態が

与える影響が弱まっている点から労働市場で良質

な流動が起きつつあると結論付けている。本稿と

問題意識が近いが,転職の有無の分析では,離職

したが転職できなかったものをサンプルに含んで

いないため,推定値にバイアスが生じている可能

性が高い2。そのため,無業者も含んだデータで改

めて検討することは意義があるだろう。

II節以下の構成は以下の通りである。II節で使

用するデータについて解説し,基本統計量を確認

する。III節では離職確率,転職成功確率の分析を

紹介し,上記①の仮説を検討する。IV節では転職

前後の賃金変化の分析を示し,上記②の仮説を検

討する。V節ではむすびにかえて,分析結果をま

とめ含意について検討する。

Ⅱ.使用するデータ

Ⅱ-1.使用するデータの概要

以下の実証分析に用いるデータは,リクルート

ワークス研究所が2016年1月に実施した「全国

就業実態パネル調査」である。対象は全国の15歳

以上男女であり,事前に登録されたモニターに対

するインターネット調査として行われた。

パネル調査の第1回目となった2016年1月調

査 で は ,41,000 件 の サ ン プ ル 目 標 数 に 対 し ,

145,102人の登録者に調査依頼がなされ,データク

リーニングの結果,49,131人から有効回答が得ら

れた。現在,日本ではすぐれたパネル調査が蓄積

されているが,本調査は従来のパネル調査よりも

大規模の標本を確保しようとする点に一つの特徴

がある。

以下の分析では学校を卒業した 60 歳以下の男

女に限る。「全国就業実態パネル調査」では,10代

や 60 代以上は非労働力人口が多いため,他の年

齢階階級異なり就業者が母集団より多くなるよう

にサンプリングフレームを構築している。そのた

め,10代や60代以降は分析対象外として,復元

倍率を使わないで分析を行っている。

Ⅱ-2.転職のとらえ方

本調査において,転職をどのようにとらえるか

(5)

転職の定義については,総務省「労働力調査」に

ならい,前職があり,前職離職時期と現職入職時

期が調査時点より1年以内(ここでは,2015 年

中)とする。

本調査は無業者を含めたサンプルであるため,

転職の構造として次の 2 段階を考える。最初に,

仕事を離職するか否かの判断,次に離職したのち

に別の企業に入職するか(転職するか)の判断で

ある。図表3は模式的に2015年期に就業してい

る人が,同じ企業に継続的に就業しているか,離

職をしたのち無業となるか,離職をしたのち転職

するかを図示したものである。この意思決定では,

転職しようと前職を離職する前に転職先を見つけ

て転職した場合をとらえられない。「全国就業実態

パネル調査」では,こうした意思決定をとらえて

おり,2015年に転職をした1,788名のうち,前職

離職前に転職先が決まっていたのが560名(転職

者のうち31.3%)であるため,多くが2段階の意

思決定をしていると考えてもよいであろう。また

次節以降の分析でも,離職理由の効果もコントロ

ールするために段階の分析を検討する。

また,転職前後の賃金変化を分析するにあたり,

転職前後の賃金のデータが必要となる。2016年1

月調査であるため,2015年の転職者に関しては転

職後の賃金(年収)を把握できないため,転職者

の分析に関しては2014年に転職を行ったものに

ついて限定する。そのため,転職をするか否かの

分析と転職前後の賃金変化のサンプルが異なる点

に注意したい。

Ⅲ.転職確率に関する分析

Ⅲ-1.分析方法

この節では,転職確率についての分析について

説明したい。前節で説明したように,転職を①前

職の離職(離職確率),②現職への就職(転職成功

確率)の2つに分解してそれぞれを分析する。①

では,2015年期初における就業者を対象として,

離職するか否かの分析を行い,②では,離職した

者に限定して,現職に転職したかそのまま無業で

あるかの分析を行う。

説明変数としては,本稿で注目している年齢階

層(2015年期初時点,以下同様)だけでなく,前

職の勤続年数,就業形態,産業,職業,従業員規

模,教育水準として大卒ダミー,転職回数を投入

する。分析データの基本統計量は付表につけてあ

る。

Ⅲ-2.離職確率に関する分析結果

図表4は離職確率を分析した結果である。2015

年期初を対象とし,2015年中に離職をすれば1,

図表3 分析データにおける転職のとらえ方

(6)

図表4 離職確率に関する分析結果

注)2015年期初の就業者を対象。被説明変数は,2015年に離職した者を1,それ以外を0とした ダミー変数。推定方法はプロビット分析。数字は限界効果,( )内の値は標準誤差を表す。

***,**,*はそれぞれ1%,5%,10%水準で有意であることを表す。

VARIABLES (1) (2) (3) (4) 年齢(ベース:30-34歳)

 24歳以下 0.065*** 0.100*** 0.075*** 0.122***

(0.014) (0.016) (0.014) (0.016)

 25-29歳 0.032*** 0.041*** 0.043*** 0.055***

(0.010) (0.009) (0.014) (0.013)

 35-39歳 -0.011 -0.011** -0.004 -0.009

(0.007) (0.005) (0.011) (0.010)

 40-44歳 -0.016** -0.017*** -0.027*** -0.031***

(0.006) (0.005) (0.010) (0.008)

45-49歳 -0.011 -0.011** -0.037*** -0.040***

(0.007) (0.006) (0.010) (0.008)

 50-59歳 -0.007 -0.009* -0.057*** -0.053***

(0.006) (0.005) (0.009) (0.008)

勤続年数 -0.000 -0.002***

(0.000) (0.000)

就業形態(ベース:非正社員)

正社員 0.001 -0.016***

(0.005) (0.006)

自営・役員・内職 0.000 -0.015

(0.009) (0.018)

産業(ベース:製造業)

建設業 0.070*** 0.239***

(0.015) (0.040)

卸売業・小売業 0.147*** 0.274***

(0.019) (0.022)

金融・不動産 0.115*** 0.215***

(0.025) (0.028)

サービス業 0.116*** 0.226***

(0.011) (0.016)

官公庁 0.114*** 0.224***

(0.029) (0.038)

その他 0.125*** 0.211***

(0.017) (0.022)

職業(ベース:事務職)

サービス職 0.040*** 0.045***

(0.010) (0.010)

労務職 0.135*** 0.265***

(0.014) (0.027)

管理職 0.048*** 0.069**

(0.014) (0.035)

営業職 0.011 0.051**

(0.009) (0.022)

専門職・技術職 0.048*** 0.028***

(0.009) (0.010)

その他 0.038*** 0.067***

(0.012) (0.014)

従業員規模(ベース:300人以下)

 300‐999人 -0.036*** -0.051***

(0.008) (0.011)

 1000人以上、官公庁 -0.053*** -0.072***

(0.008) (0.010)

大卒ダミー -0.001 -0.010

(0.003) (0.006)

これまでの転職回数 -0.001** -0.001

(0.001) (0.001)

疑似決定係数 0.010 0.137 0.022 0.136 サンプルサイズ 16,274 16,274 13,118 13,118

男性 女性

そうでなければ0を取

るダミー変数を被説明

変数としている。

(1)式,(3)式は年

齢階級のみを投入した

結果である。30~34歳

をベースにし,20代で

あれば男女とも係数は

プラスで有意であり,

30代前半よりも20代

の方が離職する確率が

高いことがわかる。関

心のある30代後半や,

40 代以降の変数につ

いて見ていこう。35~

39歳については,男性

で年齢階級のみコント

ロールした(1)式は有

意ではないが,前職の

情報をコントロールし

た(2)式は有意であ

る。男性については,

前職の状況が一定であ

れば,30代前半よりも

30 代後半の方がそも

そも離職をしない傾向

があり,「30 代転職限

界説」と整合的と言え

ない結果が得られた。

一方,女性の 30 代後

半については,前職の

情報のコントロールの

有無にかかわらず,統

計的に有意ではない。

また,40代以降につい

ては男女ともに係数は

マ イ ナ ス で 有 意 で あ

り,40代以降について

(7)

図表5 転職成功確率に関する分析結果

注)2015年に離職した者を対象。被説明変数は,2015年に現職に就職した者を1,それ以外を 0としたダミー変数。推定方法はプロビット分析。数字は限界効果,( )内の値は標準誤差を表す。

***,**,*はそれぞれ1%,5%,10%水準で有意であることを表す。

VARIABLES (1) (2) (3) (4) (5) (6)

年齢(ベース:30-34歳)

 24歳以下 0.081 0.082 0.087 0.114*** 0.097** 0.106**

(0.057) (0.059) (0.059) (0.040) (0.044) (0.045)

 25-29歳 0.081 0.077 0.081 0.040 0.029 0.037

(0.052) (0.053) (0.053) (0.045) (0.046) (0.048)

 35-39歳 0.011 0.013 0.017 0.083* 0.082* 0.057

(0.057) (0.058) (0.058) (0.046) (0.047) (0.049)

 40-44歳 0.024 0.029 0.032 -0.010 -0.013 -0.055

(0.052) (0.054) (0.054) (0.047) (0.048) (0.050)

45-49歳 -0.144** -0.129** -0.111* 0.070 0.069 0.023

(0.057) (0.059) (0.059) (0.049) (0.050) (0.053)

 50-59歳 -0.108** -0.045 -0.016 0.007 0.035 0.004

(0.047) (0.052) (0.052) (0.044) (0.045) (0.048)

前職の状況

勤続年数 -0.007*** -0.006*** -0.011*** -0.010***

(0.002) (0.002) (0.003) (0.003)

就業形態(ベース:非正社員)

正社員 -0.070** -0.097*** -0.032 -0.034

(0.034) (0.035) (0.027) (0.028)

自営・役員・内職 0.146** 0.131* 0.128 0.130

(0.073) (0.075) (0.100) (0.097)

産業(ベース:製造業)

建設業 0.023 -0.005 -0.042 -0.046

(0.068) (0.070) (0.095) (0.099)

卸売業・小売業 -0.092 -0.104 -0.038 -0.054

(0.064) (0.065) (0.050) (0.051)

金融・不動産 -0.037 -0.047 0.102 0.118*

(0.087) (0.087) (0.063) (0.065)

サービス業 0.009 -0.015 0.042 0.026

(0.045) (0.046) (0.045) (0.046)

官公庁 0.103 0.104 0.072 0.073

(0.088) (0.091) (0.082) (0.082)

その他 -0.017 -0.041 -0.025 -0.036

(0.061) (0.062) (0.054) (0.055)

職業(ベース:事務職)

サービス職 -0.048 -0.059 -0.093*** -0.086**

(0.052) (0.053) (0.035) (0.037)

労務職 -0.025 -0.034 0.005 0.001

(0.054) (0.055) (0.054) (0.056)

管理職 0.058 0.071 -0.092 -0.043

(0.067) (0.066) (0.106) (0.117)

営業職 -0.087 -0.097 -0.232*** -0.239***

(0.068) (0.068) (0.067) (0.072)

専門職・技術職 0.072* 0.074* -0.044 -0.035

(0.043) (0.043) (0.038) (0.039)

その他 -0.094 -0.087 -0.010 -0.004

(0.064) (0.065) (0.042) (0.043)

従業員規模(ベース:300人以下)

 300‐999人 -0.023 -0.012 0.019 0.009

(0.045) (0.046) (0.037) (0.038)

 1000人以上、官公庁 -0.057 -0.055 -0.004 0.009

(0.040) (0.040) (0.032) (0.033)

大卒ダミー 0.019 0.021 0.039 0.047

(0.032) (0.033) (0.030) (0.031)

これまでの転職回数 -0.002 -0.002 0.006 0.004

(0.005) (0.005) (0.004) (0.004)

前職の離職理由(ベース:非自発的理由)

  自発的理由(下記以外) 0.117*** 0.132***

(0.036) (0.033)

  健康悪化のため -0.228*** -0.102**

(0.060) (0.048)

  育児・子育て・介護のため 0.066 -0.288***

(0.096) (0.040)

  その他の理由 0.035 -0.023

(0.058) (0.048)

疑似決定係数 0.020 0.052 0.077 0.006 0.029 0.086 サンプルサイズ 1,183 1,183 1,183 1,764 1,764 1,764

(8)

ることを指摘できる。そのほかの結果を指摘して

おくと,男女ともに産業,職業はベースに比べて

おおむね正で有意であり,産業・職種によって離

職確率が異なることがうかがえる。就業形態につ

いては,女性の正社員については非正社員よりも

離職しにくい傾向があるといえる。また,従業員

規模も大企業であるほど離職しない傾向が見られ

る。

Ⅲ-3.転職成功確率に関する分析結果

次に,2015年に離職した者に限定して,転職に

成功するか,すなわち現職に入職したか否かにつ

いての分析結果を紹介する。結果は図表5に掲載

されている。

本稿で関心のある年齢について見てみると,男

性では45~49歳において係数がマイナスで有意

であるが,35~39歳については統計的に有意では

ない。女性については,24歳以下がプラスで有意,

35~39歳については,年齢階級のみをコントロー

ルした(4)式,前職の状況も追加的にコントロー

ルした((5)式のみにおいて,10%有意水準では

あるが,プラスで有意である。ただし,前職の情

報をコントロールしてしまうと,有意ではなくな

ってしまう。女性の35~39歳の係数がプラスで

有意である点については後でさらに検討を加える。

離職者に限定した転職成功確率に対しては年齢が

あまり影響しないことがわかる。離職者自体がど

のような性格なのか,例えば能力が低い人ほど転

職している可能性もあり,本稿ではこうした分析

まではできないが,離職者について限定した場合

に年齢はあまり影響せず,むしろ離職するかしな

いかで年齢差が大きくみられることはここで指摘

しておきたい。

図表5について結果をさらに見ておくと,勤続

年数については男

女ともにマイナス

で有意であり,勤続

年数が長い人ほど

転職成功確率が下

がることがわかる。

また,男性であれば

正社員は非正社員

に比べて転職成功

確率が有意に下が

ることも分かる。こ

うしたことの背景

に,蓄積された企業

特殊的人的資本が

他社ではあまり評

価されないことが

あろう。産業,職業

についてはあまり

有意な係数が見ら

れないが,女性につ

いてはサービス職,

営業職であれば事

務職よりも転職成 図表6 離職者の就職確率の分析結果(女性,無業者がベース)

注)推定方法は多項ロジット分析。 ( )内の値は標準誤差を表す。***,**,*はそれぞれ1%,5%,10%水準 で有意であることを表す。掲載している説明変数以外に,前職の勤続年数,就業形態,産業,職業,従 業員規模,大卒ダミー,転職回数を投入している。

被説明変数: 正社員 非正社員 雇用以外 正社員 非正社員 雇用以外

年齢(ベース:30-34歳)

 24歳以下 0.284 0.474** -0.009 0.333 0.533** 0.015

(0.278) (0.205) (0.506) (0.294) (0.215) (0.512)

 25-29歳 0.493* -0.058 -0.629 0.526* -0.002 -0.595

(0.272) (0.220) (0.616) (0.291) (0.231) (0.626)

 35-39歳 0.153 0.429** -0.122 0.057 0.329 -0.153

(0.297) (0.217) (0.545) (0.322) (0.225) (0.546)

 40-44歳 -0.156 -0.002 -0.309 -0.354 -0.178 -0.373

(0.312) (0.215) (0.550) (0.335) (0.225) (0.539)

45-49歳 -0.032 0.385* 0.150 -0.195 0.183 0.067

(0.335) (0.230) (0.551) (0.349) (0.239) (0.548)

 50-59歳 -0.521 0.322 -0.241 -0.648* 0.194 -0.308

(0.342) (0.207) (0.538) (0.363) (0.215) (0.538)

就業形態(ベース:非正社員)

正社員 1.199*** -0.726*** -0.085 1.205*** -0.716*** -0.075

(0.172) (0.130) (0.323) (0.180) (0.136) (0.323)

自営・役員・内職 1.184 0.240 1.650** 1.276* 0.255 1.646**

(0.740) (0.492) (0.725) (0.713) (0.474) (0.711)

前職の離職理由(ベース:非自発的理由)

  自発的理由(下記以外) 0.944*** 0.367** 0.613

(0.234) (0.146) (0.428)

  健康悪化のため -0.677* -0.440** 0.409

(0.390) (0.211) (0.558)

  育児・子育て・介護のため -1.544*** -1.258*** -0.257

(0.369) (0.215) (0.518)

  その他の理由 0.350 -0.337 0.578

(0.327) (0.217) (0.525)

Constant -1.556*** -0.245 -2.604*** -1.741*** -0.065 -2.794***

(0.381) (0.271) (0.600) (0.436) (0.295) (0.607)

Log Likelihood -1781.8 -1698.9

Observations 1,764 1,764

(9)

功確率が下がる。従業員規模,大卒ダミー,転職

回数は有意ではない。また,前職の離職理由の効

果を見ると,男女ともに,自発的理由はプラスで

有意,健康悪化のためはマイナスに有意であり,

非自発的理由に比べて有意な差がみられる。自発

的理由による転職ほどより前向きに転職活動を行

うと考えられ,結果として転職成功確率があがる

のであろう。また,女性についてのみ,育児・子

育て・介護のためがマイナスで有意である。健康

悪化も含めて,継続して就業するのが困難である

ため,転職をしないといったことがあろう。

Ⅲ-4.女性 30 代後半の転職成功確率について

図表5の一部の推定式において,女性の30代

後半が 30 代前半よりも転職成功確率が高まると

いう結果が得られた。この結果がなぜ起こってい

るのかを見るために,女性が正社員として就職す

るのか,非正社員か,それとも雇用以外の働き方

かに注目して,多項ロジットモデルの分析を行っ

た。その結果が図表6である。

モデル1は前職の離職理由をコントロールして

いないが,35~39歳は非正社員がプラスで有意で

ある。一方前職の離職理由をコントロールしたモ

デル2では35~39歳は有意ではない。一方でそ

のほかの就業形態については有意ではない。先ほ

ど見た35~39歳については,転職が成功してい

るといっても非正社員に就職しているのが実態で

あることがうかがえる。調査時点では有効求人倍

率が比較的高く雇用環境は良いが非正社員を中心

に雇用するといった動きもあった。こうした状況

を反映していると言える。また,興味深い点とし

て前職が正社員であると,現職にも正社員として

就職する傾向が見られることである一方,非正社

員としては就職しないといった傾向がある。

以上をまとめると,離職確率については年齢差

が大きく,特に男性については 30 代前半よりも

30代後半の離職確率が低く,離転職が難しいこと

が示唆される。離職を前提として転職が成功する

か否かについて年齢差はそれほどなく,男性につ

いては 30 代前半,後半で有意な差が見られなか

った。一方,女性では 30 代前半よりも後半の方

が転職成功確率は高いが,主に非正社員に就職す

ることがその背景にあることがわかった。

Ⅳ.転職前後の賃金変化に関する分析

Ⅳ-1.分析方法

次に,転職を前提として転職前後の賃金変化に

ついて見てみよう。こうした分析はこれまでにも

すでにいくつも行われてきたが,改めて本稿でも

年齢に注目して行ってみたい。

前述したように,Ⅲ節の分析と対象サンプルが

異なり,2014年に転職をしたものに限定する。同

じ時期に限定し,転職後の就業についてもそれほ

ど時期が異ならないので,サンプルはある程度均

質的であると言える。また,転職前の年収は最後

の1年間の年収を活用する。被説明変数は転職前

後の年収の変化率(%にはしていない,以下同様),

そして転職前後の賃金率の変化率とした。転職前

後の賃金率は,年収を週当たり労働時間の 52 倍

で除した値を活用し,転職前後の労働時間の変化

を調整したものである。

説明変数としては,年齢,前職の勤続年数,就

業形態の変化,特に正社員からそれ以外やその逆

の移動,従業員規模の変化,産業の変化,業種の

変化を見ている。

Ⅳ-2.分析結果

分析結果は図表7にある。サンプルサイズが小

さいためにあまり有意な変数が見られないと言え

る。注目している年齢については,男性について

は,賃金率変化率の40~44歳が10%有意水準で

見てマイナス有意であるが,それ以外の係数は有

意ではない。そのほかの要素をコントロールする

ことによって年齢による差はあまり見られないと

(10)

一方,女性については,35~39歳は年収変化率, 賃金率変化率ともにおいて係数がプラスで有意と

なっている。また,40~44歳においても年収変化

率だけにおいてプラスで有意である。女性につい

ては,30代後半を中心に転職前後の年収があまり

下がりにくいといった傾向が見られる。図表7の

推定式における就業形態の変化についてはコント

ロールしてあるため,よりこうした人材が賃金の

低くない仕事に就く可能性もある。転職時期が異

なるが仮にそれほど状況が変わっていないとする

と,図表6でも見たように,前職が正社員であっ

た人ほど正社員に就職しやすく,それ以外の形態

であった人は非正社員などに就職しやすいため,

意識的に賃金が下がらないように就職している一

方,企業としてもある一程度の年齢の人材を活用

する動きがあると言えるだろう。その意味で女性 図表7 転職前後の賃金変化の分析結果

注)推定方法は最小二乗法。被説明変数は転職前後の変化率。( )内の値は分散不均一性に頑健な標準誤差を 表す。***,**,*はそれぞれ1%,5%,10%水準で有意であることを表す。

VARIABLES 年収変化率 賃金率変化率 年収変化率 賃金率変化率

(1) (2) (3) (4)

年齢(ベース:30-34歳)

 24歳以下 0.073 -0.472 -0.045 0.191

(0.494) (0.622) (0.617) (0.488)

 25-29歳 0.201 0.026 -0.648 0.005

(0.414) (0.519) (0.404) (0.512)

 35-39歳 0.006 -0.639 1.043** 1.296*

(0.379) (0.447) (0.520) (0.665)

 40-44歳 -0.245 -0.681* 0.867* 0.572

(0.297) (0.391) (0.519) -4.554

45-49歳 0.138 1.550 0.895 0.297

(0.469) (1.519) (0.775) (0.781)

 50-59歳 0.147 -0.027 0.853 0.922

(0.354) (0.592) (0.822) (0.937)

前職の勤続年数 -0.047*** -0.088*** -0.104*** -0.142***

(0.010) (0.029) (0.040) (0.054)

現職決定後に離職ダミー -0.386** -0.120 -0.091 -0.568

(0.182) (0.390) (0.378) (0.604)

前職の離職理由(ベース:非自発的理由)

  自発的理由(下記以外) -0.154 -0.948 -0.124 -2.900

(0.299) (0.731) (0.564) (2.843)

  健康悪化のため -0.765** -1.017 -0.549 -3.291

(0.373) (1.455) (0.683) (3.191)

  育児・子育て・介護のため -1.023*** -1.956** -1.319*** -3.346

(0.290) (0.769) (0.437) (2.467)

  その他の理由 -0.159 -1.342* 0.215 -2.331

(0.354) (0.713) (0.846) (2.948)

就業形態変化ダミー(正社員から正社員以外へ) -0.297 -0.700** -0.019 -0.948*

(0.188) (0.3010) (0.429) (0.570)

就業形態変化ダミー(正社員以外から正社員へ) 0.090 1.424 0.162 -0.152

(0.358) (1.050) (0.715) (0.976)

従業員規模変化ダミー(下方へ) -0.159 0.293 -0.198 -2.309

(0.295) (0.374) (0.517) (2.384)

従業員規模変化ダミー(上方へ) -0.007 0.480 0.438 -1.607

(0.290) (0.378) (0.654) (2.124)

産業移動ありダミー 0.002 -0.545 -0.068 -1.676

(0.232) (0.443) (0.410) (1.405)

職業移動ありダミー -0.066 0.494 0.136 -0.013

(0.254) (0.419) (0.439) (0.468)

Constant 1.218*** 2.051*** 1.371*** 6.177

(0.466) (0.792) (0.516) (5.158)

Observations 553 549 641 638 R-squared 0.040 0.060 0.032 0.022

(11)

を中心に良い流動化が起こっているといっても過

言ではないだろう。

そのほかのコントロールした変数について簡単

に見ておきたい。前職の勤続年数はいずれの推定

式においてもマイナスで有意である。勤続が長く

なれば転職時に賃金減少を覚悟しなければならな

いという意味で,日本の労働市場では企業特殊的

人的資本などのマッチング・レントが大きく,こ

うしたことによって転職市場は活性化していない

ことが読み取れる。また,男女とも育児・子育て・

介護のためとした理由は係数がマイナスで有意と

なっている。こうした理由で離職した人は,労働

時間などに制限が出てくるために結果的に労働時

間が短く収入の低い仕事を選んでいるのであろう。

また就業形態変化ダミー(正社員から正社員以外

へ)は賃金率変化率においてマイナスで有意であ

る。就業形態の変化は転職条件に影響を及ぼすこ

とがわかる。

Ⅴ.むすびにかえて

本稿では「35歳転職限界説」が現在でも成立し

ているのか,複数の観点からデータによる検証を

行ってきた。結果をまとめてみると以下の通りに

なる。

離職確率については年齢差が大きく,特に男性

については30代前半よりも30代後半の離職確率

が低く,離転職が難しいことが示唆される。離職

を前提として転職が成功するか否かについて年齢

差はそれほどなく,男性については 30 代前半,

後半で有意な差が見られなかった。一方,女性で

は 30 代前半よりも後半の方が転職成功確率は高

いが,主に非正社員に就職することがその背景に

あることがわかった。I節で見たように,労働市場

の流動性についてはそもそも離職確率が年齢によ

って異なっていることが課題であろう。特に男性

については依然として「35歳転職限界説」に近い

ことが起こっていると言える。

転職前後の賃金変化については,男性は 30 代

前半・後半で有意な差が見られなかったため,こ

の点では「35歳転職限界説」で言われているよう

に転職することが厳しい状況であるとは言えない。

加えて,女性については30代前半に対して30代

後半は転職前後の賃金変化の係数がプラスで有意

であるなど,転職することによる賃金低下が緩や

かである可能性がある。女性の転職行動を見ると,

前職が正社員であった人ほど現職でも正社員であ

るように,労働市場においてより賃金の高い,あ

るいはチャンスのある仕事があるかを見極めてい

る可能性がある。女性については離職確率・転職

成功確率が 30代前半,後半で有意な差が見られ

るのは,この研究において1時点の影響しかして

おらず経年変化を見ているわけではないので確定

的なことは言えないが,これまでもそうしたこと

が起こっているため,ある意味当たり前と言える。

それだけでなく賃金についても 30 代前半・後半

で違いがあり 30 代後半の方が前半よりも高くな

るという点は興味深く,ある意味で良い意味での

流動化が起こっていることが示唆される。こうし

た良い意味での流動化が広がるために男性につい

ても転職による成果が得られるよう,労働市場を

整備しつつ,男性の離職・転職についての意識を

変革していく必要があろう。

本稿についてはパネル調査の第1回のみのデー

タを使ったため分析が不十分な点がある。離職確

率などを推定する際に,他の条件を一定にして賃

金が低い人ほど転職をしているのか,それとも能

力が低い人ほど転職をしているのか,こうした検

討課題についてはパネル調査としてデータが蓄積

されることによって検証できる。また,本稿では

1 時点の転職について分析したものであり,経年

比較をしたわけではないので,過去からの変化に

ついては推察できるにすぎないことに注意すべき

である。さらに,転職をすることによって長期的

な賃金への影響についても考察する必要がある。

こうした点については今後の課題として明記して

(12)

1 たとえば,大橋・中村(2002),樋口他(2005),戸田

(2010)などがある

2 彼らの使っているワーキングパーソン調査は就業者を対

象としているだけであり,過去にさかのぼって転職をし たか否かの分析を行っても,転職をしようと離職したが 就職できなかった人をとらえられないで分析にバイスが 生じている可能性が高い。

参考文献

濱秋純哉・堀正浩・前田佐恵子・村田啓子,2011,「低成長と日 本的雇用慣行―年功賃金と終身雇用の補完性を巡って」『日本 労働研究雑誌』No.611, pp.26-37。

樋口美雄・阿部正浩・児玉俊弘,2006,『労働市場改革の経済分 析』東洋経済新聞社。

Kambayashi, Ryo and Takao Kato, 2011, “The Japanese Employment System after the Bubble Burst”, in Koichi Hamada, Anil K. Kashyap and David E.

Weinstein eds., Japan’s Bubble, Deflation and Long-tern Stagnation, pp.217-262 MIT Press. Kawaguchi, Daiji and Yuko Ueno, 2013, “Declining

Long-Term Employment in Japan,” Journal of the Japanese and International Economics, 28, pp.19-36.

Lazear, Edward, 1979, “Why it There Mandatory

Retirement,”Journal of Political Economy, 87 (6),pp.1261-1284.

大橋勇雄・中村二朗,2002,「転職のメカニズムとその効果」玄 田有史・中田善文編編著『リストラと転職のメカニズム』第

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戸田淳仁,2010,「職種経験はどれだけ重要になっているのか─ ─職種特殊的人的資本の観点から」. (『日本労働研究雑誌』

No.594。

豊田義博・小泉静子「「良質な流動化」は生まれているか―転職か ら労働市場の構造変化を探る」『Works Review』Vo.2。

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手話の世界 手話のイメージ、必要性などを始めに学生に質問した。

懸念される リクルート 就職みらい研究所

①規制区域内 底質 不検出 Bq/kg. ②残骸収集地点 ビーチ砂 不検出

事後調査では、ムラサキイガイやコウロエンカワヒバリガイ等の外来種や東京湾の主要な 赤潮形成種である Skeletonema

目名 科名 種名 学名.. 目名 科名

会社名 現代三湖重工業㈱ 英文名 HYUNDAI SAMHO Heavy Industries

(2)工場等廃止時の調査  ア  調査報告期限  イ  調査義務者  ウ  調査対象地  エ  汚染状況調査の方法  オ 

(ア) 上記(50)(ア)の意見に対し、 UNID からの意見の表明において、 Super Fine Powder は、. 一般の